
他のEU加盟国と同様に、外国人がポルトガルに3ヶ月以上滞在することを希望する場合、入国日より90日以内に居住許可を申請する必要があります。
非EU国民は、以下の2つの制度を通じて居住許可を申請できます。
- 特定の投資によるゴールデンレジデンスパーミットプログラム
- 高資格外国人労働者に対して発給されるよるEUブルーカード
上記のいずれのカテゴリーの場合も、居住許可を得た申請者の家族は、家族ビザの申請手続きを経て居住許可を得ることができます。
ゴールデンレジデンスパーミットプログラム
ゴールデンレジデンスパーミットプログラム(通称「ゴールデンビザ」)が2012年10月に施行され、EU圏外の海外投資家がポルトガルに投資することによって居住許可を取得できるようになりました。
同プログラムでは、現在3種類の投資オプションが認定されており、条件は以下のとおりです。
1. 100万ユーロの資本金をポルトガルに移動する
企業の株式購入等を含め、必要とされる最低金額の投資を証明する必要があり、その方法として以下があります。
- 申請者である投資家が唯一の口座名義人である口座に100万ユーロ以上を入金した、またはポルトガル企業の株式を購入したことを証明する、ポルトガルで営業許可を得ている金融機関によって発行された証明書
- 申請者が企業の株式を保有していることを証明する、商業登記所によって発行された最新の証明書
2. 50万ユーロ以上の価値を持つ不動産の購入
不動産の所有者であることを証明する必要があり、その方法として以下があります。
- 公的な不動産権利証または購入約束契約書に加えて、50万ユーロ以上の価値を持つ不動産購入をするために必要な資金の移行を行った、または同不動産購入のデポジットのために資金の移行を行ったことを証明する、ポルトガルで営業許可を得ている金融機関によって発行された証明書
- 登記所によって発行された最新の不動産権利証
3. 最低10人分の新規雇用を創出し、被雇用者を社会保障局に登録する
10人分の新規雇用を創出し、被雇用者を社会保障局に登録したことを証明する社会保障局によって発行された最新の証明書を提出します。
「ゴールデンビザ」を更新するためには、最低居住期間の条件を満たしている必要がありますが、これらの条件は厳しくありません。初めての更新の場合は、居住1年目に最低7日間ポルトガルに滞在している必要があります。その後は、2年間ごとに2回の更新が可能ですが、その場合、2年間に14日間ポルトガルに滞在していれば更新できます。
EUブルーカード
経済的な条件に基づいてポルトガルの居住権を得るためのもう1つの方法は、2012年10月に導入されたEUブルーカードプログラムの利用です。同プログラムでは、以下の条件を満たすことによって、非EU諸国出身の高資格者がポルトガルに居住・就労することができます。
EUブルーカードの申請者は以下の提出が求められます。
- 一般的な平均年収(税込み)の最低1.5倍(職種によっては1.2倍)以上の年収の雇用契約書もしくは拘束力のある採用通知書。OECDによると、2011年の平均年収は17,000ユーロ
- 健康保険に加入している証明もしくは申請者が国民健康保険によってカバーされている証明
- 社会保障局に登録している証明
- 特別な資格が必要な職業の場合、申請者がその資格を持っていることを証明する書類。特別な資格を必要としない職業の場合、申請者が関連する高度な専門資格を持っていることを証明する書類
ポルトガルの市民権は両親または祖父母がポルトガル国籍の場合取得できます。
また、以下の条件に当てはまる場合も市民権を申請できます。
1. 申請者がポルトガルに合法的に6年間居住し、以下の条件を満たしている場合
- 法的に成人である(18歳以上)
- 居住許可を得てポルトガルに6年以上居住している
- 基本的なポルトガル語の知識(A2レベル)がある
- ポルトガルの法律上、3年以上の刑罰に値する有罪判決を過去に受けていない
2. 結婚もしくは市民パートナーシップを通じて
- ポルトガル国民と正式に結婚し、3年以上婚姻関係にある場合
- ポルトガル国民と民事法廷により正式に認められた市民パートナーシップの関係にあり、3年以上同居している場合
3. ポルトガル領内で出生した場合
非ポルトガル国民の両親を持ち、ポルトガル領内で出生した子供は、両親がポルトガルに5年以上居住している場合、もしくは子供がポルトガルで初等教育を修了している場合、ポルトガルの市民権を取得することが可能です。
4. ポルトガル領外で出生した場合
ポルトガル領外で出生した場合、両親のうち一人がポルトガル市民で、ポルトガルとの事実上の繋がりを証明できる場合は、ポルトガルの市民権を取得することが可能です。
ポルトガル政府は二重国籍を認めています。
ポルトガル政府は、非居住者と新規居住者(「常居所を有さない居住者(NHR)」とみなされます)の収入に対して寛大な課税基準を設けています。他方、その他の居住者の収入には、標準課税方式に基づき、より比率の高い累進税率が適用されます。
非居住者の場合、ポルトガル国内における雇用や自営業を通じて得た収入に対して25%の税が課され、キャピタルゲインや家賃収入、様々な形態の投資収入に対して28%の税が課されます。
NHR(常居所を有さない居住者向け)プログラムは、高付加価値をもたらす活動に従事する優秀な人材や富裕層を誘致することを目的としています。優遇策の一部として、ポルトガル国内における特定の職業活動を通じて得た収入に対する税率が20%に引き下げられる他、年金・利子・株式などの配当金、特許使用料・印税・国外における職業活動を通じて得た収入に対して、条件付きで税が控除されます。
「NHRプログラム」の対象となる職業は次のとおりです。
技術職(建築家、エンジニア、地質学者など)・芸術家・俳優・ミュージシャン・医者・歯医者・医療関係者・教育関係者・IT関連職・科学者・ビジネス投資家・管理職など。
「NHRプログラム」は、申請直前の過去5年間にポルトガルで納税義務のある居住者としてみなされたことがない個人を対象にしています。高付加価値をもたらす活動に携わることは、その他の収入に対する税控除の条件ではありません。同プログラムの優遇措置は、申請者がポルトガルにて納税義務のある居住者となってから10年間有効です。ポルトガルにて納税義務のある居住者になるためには、税年度のうち183日以上ポルトガルに滞在する、または税年度の12月31日までに定住目的の住居を所有している必要があります。
ポルトガルに居住していて「NHRプログラム」の対象とならない場合、収入のレベルにもよりますが、累進課税で最大48%の所得税が課されます(2014年にはさらに追加税も課税)。現在、8万ユーロ以上の収入に対して3.5%の追加税と2.5%の統一割り増し税が課され、25万ユーロ以上の収入に対しては追加税が5%まで引き上げられます。ちなみにこれらの追加税は「NHRプログラム」で税金控除の対象外とされている収入に対しても課されます。
標準的な法人税の税率は25%で、付加価値税(いわゆる消費税)は現在23%に設定されています。
ポルトガルの不動産市場は2000年から2008年にかけて需要が急速に高まり、多くのディベロッパーが需要を満たすために活発に不動産開発を行いました。しかしながら、2008年の世界的な経済低迷に伴って不動産の需要が低減し、多くの新築物件が余っている状態になりました。その結果、不動産価格が下落し、市場が今後回復すると見られる今、不動産投資の絶好の機会を提供しています。
当社の調査によると、最も投資価値のあるエリアは以下のとおりです。
- リスボン:ポルトガルの首都
- エストリル海岸とカスカイス:魅力的なライフスタイルを提供するエリア
- トローイア:リスボンより南にわずか40kmという近さにありながらトロピカルな雰囲気が楽しめるエリア
- アルガルヴェ:ポルトガルの主要観光地で、素晴らしいビーチと総合的なリゾート施設が魅力のエリア
これらのエリアは不動産購入者に様々の魅力と優れた投資価値を提供します。
首都リスボン近郊の最高級開発地区
リスボンとエストリル海岸/カスカイス地域では最高級の不動産開発が行われており、ポルトガルで居住権や市民権の取得を望む投資家の間で人気のエリアです。
海岸沿いの開発地区
アルガルヴェ地域はその長大な海岸線にもかかわらず、建築制限や自然保護法などにより、開発過多が制限されているため、需要と供給のバランスが取れており、既存および許可済みの開発プロジェクトの市場価値が高めです。
マスタープランに基づく総合コミュニティ
これらの不動産プロジェクトにはゴルフコースを有するものや、コミュニティ単位のものがあり、地元住民や新規居住者、別荘のオーナー、行楽客など、あらゆるタイプのオーナーのニーズに応える不動産物件を提供します。アルガルヴェやトローイア・エストリル海岸・カスカイスなどの地域には、このような計画的に形成されたコミュニティタイプの物件が豊富にあります。
2012年にゴールデンレジデンスプログラムが施行されて以来、海外の不動産バイヤーの間でこれらのエリアの人気が飛躍的に高まっています。また、外国人オーナーの流入により、ポルトガルの不動産価格は上昇しています。その結果、より質の高いデザインと計画的なコミュニティタイプの物件の開発に繋がり、より長期的な価値を生み出しています。