
人口400万人以上を擁するモルドバ共和国は、ヨーロッパとアジアの境に位置しています。同国の名前は、モルドバの初代統治者となるドラゴシュ王子が最初に住み着いた地域に流れるモルドバ川に由来していると言われています。
ヨーロッパの一国として、古風で趣きのあるモルドバは、1991年に独立を宣言し、翌年には国際連合に加盟しました。農産業や食品加工産業に強みを持ち、成長を続ける自由市場経済に恵まれた国で、世界有数のワイン輸出国でもあります。中でも、首都キシナウの郊外にあるミレシュティ・ミッチ・ワイナリーは、世界最大のワインコレクションを有し、同国のワイン生産の歴史はおよそ5千年前に遡ります。
モルドバの公用語はルーマニア語(別名「モルドバ語」)ですが、ロシア語を話す人も大勢います。また、EUとの密接な関係のおかげで、ほとんどの地域で英語も広く使用されており、多民族で構成される同国で英語の普及率は急速に高まっています。さらにこの国は、ハイテク産業の複数の分野で素晴らしい革新技術を開発し、世界をリードしています。例えば、同国はモバイル機器向けの高精細な音声サービスを世界に先駆けて開始しました。また、インターネットの速度では世界第3位につけています。
モルドバのパスポート所有者は、ロシア、トルコ、欧州のシェンゲン協定加盟国を含む、121の国と地域にビザなしで渡航できます。
2018年後半に開始されたモルドバの投資市民権(MCBI)プログラムは、モルドバ政府とそのパートナーであるモルドバ投資会社(MIC)によって進められてきました。MCBI プログラムでは、申請者は公共投資ファンドを通じてモルドバに所定の額の経済的貢献を行うことが求められます。その見返りとして、徹底した身元調査を含む、厳格な審査とデュー・デリジェンスのプロセスで問題がなければ、申請者とその家族に市民権が付与されます。
モルドバの市民権のメリット
- ロシア、トルコ、欧州のシェンゲン圏諸国を含む、世界122の国と地域にビザなしで渡航できる
- オープンな文化、大陸的な気候風土、魅力的な景観を特徴とする欧州の一国家の市民権
- 求められる経済的貢献額がそれほど高くなく、申請手続きが非常に効率的
- パスポートの交付を含む、完全な市民権が申請者とその家族に与えられる
- 扶養している29歳以下の子供と55歳以上の(申請者またはその配偶者の)両親を含むことができる
- 制約および追加費用なしで、市民権を後続の世代に移譲できる
- 欧州安全保障協力機構や世界貿易機関など、多数の国際機関に加盟している
- EUと連合協定を締結しており、EUの加盟国候補になることを目指している
市民権を申請するには、申請者は18歳以上で、申請条件を満たし、基本条件である経済的貢献を行う必要があります。
公共投資ファンド(PIF)への最低貢献額(返金不可)
- 申請者ひとりの場合:10万ユーロ
- 夫婦で申し込む場合:11万5,000ユーロ
- 4人家族の場合:14万5,000ユーロ
- 5人家族以上の場合:15万5,000ユーロ
政府のサービスプロバイダーおよび政府公認エージェンシーの費用は申請につき3万5,000ユーロです。
さらに、政府への手数料として、申請者本人に5,000ユーロ、その配偶者に2,500ユーロ、15歳以下の子供ひとりにつき1,000ユーロ、16~29歳の扶養する子供ひとりにつき2,500ユーロ、扶養する55歳以上の(申請者本人または配偶者の)親ひとりにつき5,000ユーロが課されます。また、デュー・デリジェンスの費用は申請者本人の場合6,000ユーロ、配偶者、16歳以上の扶養する子供、および/または扶養する親ひとりにつき5,000ユーロです。バイオメトリックパスポートの発行にかかる費用はひとりにつき300ユーロです。
なお、MCBIプログラムでは、申請者本人とその扶養家族の経歴に問題がなく、犯罪歴がないことが前提となります。さらに、モルドバとビザ免除または到着時に入国ビザが付与される協定を結んでいる国または地域へのビザの発行を拒否されたことがある人は、MCBIプログラムに応募することはできません。
ちなみにモルドバでは4段階からなるデュー・デリジェンスのシステムを採用しており、世界でも最も厳格なシステムとみなされています。
MCBIプログラムに応募するには、所定の申請用紙に記入し、適切な手数料や必要な書類と一緒に提出しなければなりません。必要な書類には、パスポートのコピーや出生証明書など一般的な個人的文書に加え、申請者に犯罪歴がないことを証明する警察署発行の証明書なども含まれます。
デュー・デリジェンスのプロセスで問題がない場合、必要な手数料と書類一式をすべて揃えて申請書を提出してから、通常3~4か月以内にMCBIプログラムによる市民権取得の証明書(帰化証明書)が発行されます。
モルドバ政府に申請書が提出される前に、あらゆる関連情報(申請者とその扶養家族の経歴を含む)が、一社または複数のデュー・デリジェンスサービスを専門とするプロバイダーによって検証されます。さらに、所定の手数料の支払いと、あらゆる資金の源泉の確認が行われます。
これらの条件をすべて満たし、最終的な支払いを済ませると、バイオメトリックのデータが採取され、忠誠の誓いを行います。これにより市民権が付与され、その後パスポートが発行されます。