2013年、香港政府はオフショアファンドの税額控除の拡大を発表しました。ファンド業界の関係者やアドバイザーと詳細を協議し、現在、法案の草稿を検討しており、2015年6月に施行される見通しです。

今回の税額控除拡大では、非居住者ファンドに関して以下の改正が提案されています。

  • 控除の対象となる投資に非公開会社への投資を含む
  • 特別目的事業体に対し、香港への税金を免除する
  • 投資に関する決定および管理を香港で行うことができる
  • 投資アドバイザーは、香港証券先物取引委員会による免許を取得している必要はない

これらの変更により、香港におけるプライベートエクイティファンドや不動産ファンドについても税額控除が適用されるため、業界でも好意的に受け止められています。

プライベートエクイティファンドおよび不動産ファンドは現行のオフショアに対する税額控除の対象外

2006年に導入されたオフショアファンドの税額控除は、世界中から投資家を香港に誘致することを目的としていました。特定の条件を満たせば、利益に対して香港政府に納税する必要はありません。その条件のひとつとして、「認可された投資」を行う必要があります。これらには、上場会社への株式投資が含まれますが、非公開会社や香港の不動産への投資は対象外です。この条件は、ヘッジファンドの場合は有利ですが、プライベートエクイティファンドや不動産ファンドについては税額控除の恩恵を受けることが一切できません。
香港政府は今回の税額控除拡大がもたらす効果について大きな期待を抱いています。これによって、期待通りにより多くのファンドを香港に誘致することができれば、地元のアセットマネージメント、投資、コンサルティング事業の需要が高まることが予想されます。既存の金融・法制インフラにこれらの効果が加われば、香港が世界のファンド業界の主要センターのひとつとして、その地位を固めることも可能でしょう。

税額控除の拡大による香港のファンド業界の活性化

上記の変更が実施されれば、ファンドの構成および規制の簡素化によって、香港におけるファンドの設立および運営がより簡単になります。また、ファンドは香港での投資を非課税で管理することができます。さらに、香港は中国を始め、多数の国と二重課税防止条約を締結しており、ファンドはこれらの条約の恩恵をより受けやすくなります。
香港での納税義務を避けるため、これらのファンドは香港における活動を基本的な事務作業に止める必要があります。投資に関するあらゆる決定および資金管理は海外で行わなければならず、香港に投資しているファンドにとっては望ましくありません。