国際通貨基金(IMF)は、「Too Much of a Good Thing? Prudent Management of Inflows under Economic Citizenship Programs」という調査報告書を発表しました。同報告書では、ここ数年増え続ける経済的市民権プログラム(ECP)のメリットと落とし穴について紹介しています。

近年、国内経済への多額の金銭的貢献と引き換えに市民権や居住権を付与するプログラムを提供する国が増えています。経済的市民権プログラム(投資による市民権取得プログラムとも言われています)は、同プログラムによる資本の流入が大きな経済的および財政的貢献をもたらし得る小規模な国家にとって特に魅力的ですが、同プログラムを提供する先進国も増えています。

これらのプログラムは、投資機会を求めると同時に、グローバルな移動をより簡単にする、より効率的な税金対策を立てる、または家族のためにより安全な環境を確保する手段として市民権または居住権の取得を検討する個人富裕層の間で主流となりつつあります。さらに、上記のニーズに合ったプログラムを提供する国が増えているため、これをビジネスの機会と捉える仲介業者の数も増えています。

IMFの調査報告書では、これらのプログラムの発展だけでなく、マクロ経済や財政的安定性におけるリスクを含む、財政規律や実体経済への影響について、特に小規模な国家経済に焦点を当てて考察しています。また、これらのプログラムの慎重な管理について討議し、様々な分野におけるリスクを最小限に抑える方法を紹介し、政治や政府の整合性における課題について言及しています。

同報告書では、マクロ経済上のリスクを抑えるため、経済的市民権プログラムがもたらす資本の流入と貯蓄を管理するためのフレームワークを提案しており、これらのプログラムによる収入の額が大きく、一定している場合は、これを管理する政府系ファンドの設立を推奨しています。

IMFの経済的市民権プログラムのレポートはこちらからご覧いただけます(英文)。