
香港の企業は、実際に香港で行われていない国際貿易やコンサルティング事業を運営する場合や、香港の外に不動産を所有している場合、税金が課されないので理想的です。さらに、キャピタルゲインや香港企業によって受領されたまたは分配された配当も非課税です。また、香港で発生した収入に課される利得税の標準税率も17.5%とかなり低めです。
東アジアの中心という地理的条件に恵まれた香港は、イギリスの植民地として1841年に設立され、1984年に調印された中英共同宣言に基づいて、1997年7月1日に中国に返還されました。その際、香港は中華人民共和国の特別行政区とされ、1997年7月1日から最低50年間に渡り、既存の経済、社会、法律制度が維持されることになりました。従って、中国返還後も香港では完全に独立した統治が行われています。香港は世界で最も自由な経済システムを採用しており(ヘリテージ財団の2014年の報告書による)、世界の主要貿易センターのひとつです。2002年には財の貿易総額が4000億米ドルに達し、世界第10位の貿易国となりました。また、香港はグローバル金融センターのひとつでもあり、多数の銀行や保険会社、投資銀行、ファンドマネージャー、ベンチャー投資会社、その他の金融仲介機関がオフィスを構えています。さらに香港のインフラは世界トップレベルで、非常に優れた通信システムを有しています。
香港の法制度はイギリスの慣習法と、地方議会で可決された包括的な制定法に基づいています。法制度では英語が使用され、ビジネスでも英語が主流です。地元の言語は広東語の方言ですが、マンダリンと呼ばれる中国語の標準語を話す人も増えています。香港政府は一般的に、「最大のサポート、最小限の干渉」という姿勢を政策上採用しており、法の支配、個人の自由、公正で効率的な行政など、可能な限りビジネスの促進に適した環境を提供しています。また、香港は中国本土と経済貿易緊密化協定(CEPA)と呼ばれる二国間自由貿易協定を締結しています。
香港に移住するメリット
- 経済的及び政治的安定、戦略的なロケーション、世界の主要金融・貿易センター
- 慣習法と透明性のある規制に基づいて確立された法制度
- 中国本土との貿易及び投資における最適なルート
- 法人税及び対人課税の税率が低く、世界で最も自由な経済システムを採用
- 資本の流出入に関する制限がない
- 両替可能で米ドルと連動している安定した通貨
- グローバル通信の拠点で優れた通信インフラを有する
- 世界トップクラスの国際空港ならびに世界で最も交通量の多いコンテナターミナルを有する
香港の税制は属地主義に基づいており、香港企業は香港内で得た利益に対してのみ納税義務があり、現在の税率は課税対象となる利益の17.5%です。配当金や利子に対する源泉課税は無く、キャピタルゲインも非課税です。ただし、印税収入については5.25%の税率で源泉徴収されますが、印税の支払人とは関係のない、非居住者に対して支払われた印税のみが課税対象です。印税の支払人と受取人の間に関係がある場合は、税率は17.5%になります。
居住権の取得
2003年9月、香港特別行政区の移民局(入境事務処)は「資本投資者入境計画」と呼ばれるスキームを導入しました。同スキームが導入される以前は、香港での投資と引き換えに居住権の取得を望む個人は、ビジネス投資ビザとして知られる労働ビザの一種を取得する必要がありました。
I. 資本投資者入境計画
香港政府は2015年1月、資本投資者入境計画の申請の受付を一時停止すると発表しました。同スキームの今後の詳細または代わりの選択肢に関する情報が入り次第、このページを更新します。
II. 投資ビザ
A. 申請資格
投資ビザは通常、資格を満たす申請者に問題なく付与され、取得までに2-3カ月かかります。
1. 許可審査- 香港経済全体への多大な貢献
投資ビザの申請における許可審査は、以下を移民局に証明することによって、クリアできます。
- 適切な事業を設立できる
- 投資活動の実施を通じて、香港人の雇用を創出できる
- 計画している商業活動において、地元の業者・サプライヤを活用する
- 投資活動を行う産業全体が、認識できる何等かの形で恩恵を受けられる
- 中期~長期的にみて、投資活動が安定した企業の確立につながると予想される
投資する事業は香港で設立された有限責任会社または香港会社法の下で登録された外国企業の形態をとることができます。個人事業やパートナーシップは通常認められません。
2. 書類及び必要とされる情報
- 必要な個所が記入済みかつ署名済みのフォームID(E) 936
- スポンサーの「香港永久性居身分証書」(いわゆるIDカード)及び/または旅券のコピー(個人として申請者のスポンサーとなる場合)
- スポンサーの事業登記書のコピー(企業として申請者のスポンサーとなる場合)
- 申請者が投資予定、またはすでに投資している企業の事業登記書のコピー。会社登記所が発行するフォーム1A(個人事業者の場合)、またはフォーム1BとフォームX(i)及びX(ii) (有限責任会社の場合)、またはフォーム1C(パートナーシップの場合)のコピー
- 申請者の香港における事業計画の詳細ならびその証明書類
- 申請者の香港における投資計画、支払済み資本金及び資金源に関する詳細ならびにその証明書類
- 企業のその他の取締役全員の個人情報及び所在地
- 申請者が香港に居ることが必要不可欠な理由
- 地元従業員及び海外駐在員の数
- 申請者の学歴及び役職に関連する経歴の詳細ならびにその証明書類(例:卒業証書や証明書、推薦状のコピーなど)
- 香港の商業及び産業に積極的に貢献するためのプランの詳細ならびその証明書類
- 申請者の過去の香港における居住に関する証明書類(当てはまる場合)
なお、上記のリストは包括的なものではなく、その他の書類や情報が必要な場合があります。また、中国本土の中国人居住者及びアフガニスタン、アルバニア、カンボジア、キューバ、ラオス、北朝鮮、ベトナムの国籍保持者は投資ビザを取得することはできません。
香港政府は香港への移住を望む方々を対象とするビザのひとつとして、長年に亘り投資ビザを提供してきました。必要条件からもお分かりのように、投資ビザは国際投資家が香港でビジネス活動を営めるよう誘致することを目的としています。投資ビザは比較的コストが低く、取得しやすいビザです。
B. 居住条件、申請手続き及び申請料
投資ビザを取得すると、申請者とその扶養家族(配偶者及び18歳未満の未婚のお子様)は、通常1年間の滞在が許可されます。滞在期間は、期間の延長理由となる商業活動が、香港経済全体に大きく貢献するという事業基準を満たしていることを条件に、2年間延長できます。その他の条件としては、犯罪歴がないこと、事業に従事し続けていること、香港の経済的負担とならないよう十分な収入があること等が含まれます。
申請者はフォームID(E) 936を提出し、135香港ドルの申請料を払う必要があります。
C. 投資ビザの成功
投資ビザは香港の発展に大きく貢献し、SARSの大きな被害にあった2003年においても申請者の数には影響しませんでした。香港の移民局は就労ビザと投資ビザを区別した情報を公表していませんが、2002年の移民局代表の話では、香港政府は毎年約300の投資ビザを発行しており、数年間、発行数に変化はないとのことでした。
III. 資本投資者入境計画と投資ビザ
資本投資者入境計画と投資ビザの間には多くの違いが見られますが、主な相違点として次の3つが挙げられます。
- 資本投資者入境計画では、香港における事業活動計画の詳細を必要としません
- 資本投資者入境計画では、申請者の学歴の詳細を必要としません
- 投資ビザでは、投資対象として認められている資産に650万香港ドル(約83万4千米ドル)の投資を継続的に行う必要がありません
これらの違いが示すように、投資ビザの方が比較的クリアしやすいことを考えると、香港に一時的に居住したい、または香港で引退生活を送りたいと考えている投資家以外の方は資本投資者入境計画よりも投資ビザの方が適していると言えるでしょう。
A. 事業活動計画及び学歴
資本投資者入境計画の根底にある政策は、香港に外国資本を誘致し、香港内に維持することを目的としています。
ただし、経済評論家は、「多くの銀行は保有している資本の内、比較的小さな割合しか融資しないため、香港にとって最も必要ないのはこれ以上の金銭的投資である」とやや冷やかな目で見ています。
さらに同スキームでは、基本的に申請者のビジネススキルや学歴が考慮されず、香港の経済や社会に積極的に貢献しなくてもビザが得られる点でも批判されています。実際、必死で投資を誘致するあまり、生産能力がなく、しっかりした教育も受けていないもののお金だけはある居住希望者を香港は積極的に受け入れるとみなされているのではないかと危惧する声を香港の街でよく聞きます。
また多くの香港人が、資本投資者入境計画は中国本土の裕福な企業家の配偶者または恋人が香港に居住できるようにすることを目的としていると信じています。これら本土の企業家は同スキームを魅力的な投資対象とみなし(彼らにとって香港は最も人気の高い「海外」投資先です)、妻や恋人に比較的簡単に与えられるプレゼントと考えているようです。正式に許可された申請の半分以上が中国国籍や台湾人であることからも、統計的にみて上記はあながち間違いとは言えないようです。
B. 投資
資本投資者入境計画では、申請者は指定された香港の資産に650万香港ドル(約83万4千米ドル)の投資を行う必要があります。これはかなり大きな額の投資と言えます。
投資ビザの場合、申請者は基本的に非公開有限責任会社を香港に設立し、約1万5千香港ドル(約1,900米ドル)程度出資するか、または1万2千香港ドル(約1,500米ドル)を支払って外国企業の支店を香港で登録する必要があります。また、政府関連の費用、監査、秘書代などの継続的なコストが年間2万香港ドル(約2,600米ドル)を超えることは恐らくないでしょう。従って、投資ビザは比較的費用がかからず、資本投資者入境計画に比べてかなり金銭的な負担が少なくて済みます。
投資ビザの場合、確かに事業活動計画の提出が求められ、ある程度の学歴も必要ですが、これらの要件はそれほど厳しいとは言えません。
従って、香港で受身的な投資を行うことを希望しない限り、資本投資者入境計画よりも投資ビザの方が圧倒的にお得です。
魅力的な税金制度
海外の投資家やビジネスマンにとって香港の税金制度が魅力的な主な理由、すなわち彼らを香港に誘致し、香港での投資を促す主な要因には以下が挙げられます。
- 利益に対する低い税率
- 香港内で発生した収入と利益のみが課税対象
- キャピタルゲイン、配当金、利子は非課税
- 寛容な資本控除
利潤税の税率は法人の場合17.5%。個人の場合は15.5%で、個人の税率は世界で最低レベルです。
香港ではシンプルな予定納税制度を採用しており、利益、給与、不動産の賃貸料といった、特定のタイプの収入に対してのみ税金が課されます。これは、あらゆる収入の合計に対して税金が課される所得税システムと異なります。
属地主義の概念
香港の税制は属地主義に基づいており、香港企業は香港内で得た利益に対してのみ納税義務があり、現在の税率は課税対象となる利益の17.5%です。香港では、企業は香港外で得た収入に対して税金を払う必要がありません。属地主義の概念の適用をさらに確実にするため、利益の源泉に関して事前照会を行うことも可能です。
このように、香港企業は香港外で国際貿易やコンサルティング活動を非課税で行うことができるため、これらの事業にとって香港企業は最適な媒体です。香港外に不動産を所有している企業においても同様のことが言えます。給与税も香港内で得た給与のみ課税対象です。また税年度の内、香港での滞在日数が61日未満の海外駐在員には給与税は課されません。さらに、香港以外の国で香港の給与税に相当する税金を支払った従業員の給与も、海外での労働に対する収入とみなされ、香港では非課税です。
ただし、支払人とは関係の無い非居住者に支払われる印税は課税対象で、通常の税率の30%にあたる5.25%が源泉徴収されます。印税の支払人と受取人の間に関係がある場合は、17.5%の税率が適用されます。
更なるメリット
香港の税制は他の国に比べて税金の種類が少ない点でも魅力的です。キャピタルゲインが非課税であるだけでなく、香港企業によって支払われた配当金にも源泉徴収税がかかりません。利子税も1989年4月1日に廃止されています。
一般的に、事業に必要な負債の利子、工場や機械の修理代などを含め、課税対象となる利益を創出する過程で納税者が負担したあらゆる出費は、利益から差し引くことが認められています。また、損失は繰り越して同じ事業の将来の利益から差し引くことができます。ひとつ以上の事業を運営している企業の場合、ある事業の損失を別の事業の利益から差し引くこともできます。さらに、工業・商業施設の建設や、課税対象となる利益の創出にかかった資本支出に対して、寛容な資本控除が受けられます。工場や機械の取得にかかる資本支出の場合、寛容な減価償却引当金を適用できます。
香港企業は香港外で国際貿易やコンサルティング活動を非課税で行うことができるため、これらの事業にとって香港企業は最適な媒体です。香港外に不動産を所有している企業においても同様のことが言えます。
ル・セルヴァンでは、香港企業の法人化及び管理を行い、会計及び監査サービスに加えて、包括的な秘書業務、名義人手配、管理サービスをお手頃な価格で提供できる提携企業をご紹介いたします。
また、他の国で法人化された企業に香港出身の会社取締役等を手配することも可能です。
香港企業の法人化
香港の非公開有限責任会社の法人化に対応しており、共同経営に関する覚書や条項の作成、株券、社印、事業登記証明書、法定帳簿の手配、企業登記所への適切な納税申告書の期限内提出、役員会議や一般会議の議事録の作成などのサービスを提供しています。
登記上の事務所及び秘書業務サービスの提供
香港企業の登記上の事務所を提供し、法定帳簿の管理、役員会議や株主総会の議事録の作成、企業登記所に提出する納税申告書の作成を含む、包括的な秘書業務サービスを提供しています。
銀行口座の開設
ル・セルヴァンのお客様及び当社または提携先企業が管理している法人の皆様が、香港や世界の主要銀行の口座を開設できるよう、口座開設の申請手続きに必要な書類の作成等のサービスを提供しています。
ビジネス/オフィスサービスの提供
共有または専用の電話・ファックス回線、音声メッセージサービス、会議施設の手配、その他の秘書業務及びビジネスサポートを含む、包括的なビジネス/オフィスサービスを提供しています。