
オーストラリア連邦はオーストラリア大陸本土と多数の小島で構成されています。総面積は世界第6位の大きさで、ひとつの大陸全体を統治している唯一の国家です。また近代において、いち早く民主政治を確立した国のひとつでもあります。1901年に設立されたオーストラリア連邦は6つの州と複数の特別地域からなり、自由民主主義の政治システムを採用しています。人口は約2,360万人で、主に東部と沿岸地域の都市部に集中しています。
高度先進国のひとつで、世界第12位の豊かな経済を誇るオーストラリアは、過去23年連続で経済成長を遂げ、平均年間成長率は3.4%です。国連の人間開発指数では、第2位にランクしています。
オーストラリアは太平洋安全保障条約(ANZUS)の締約国のひとつで、アジア太平洋経済協力(APEC)、イギリス連邦、G20、経済協力開発機構(OECD)、太平洋諸島フォーラム、国連、世界貿易機関(WTO)のメンバーでもあります。
ニュージランド以外の国籍保持者は、オーストラリアに渡航する前にビザを取得する必要があります。
外国人がオーストラリアに移住する場合、短期滞在ビザと永住権の2種類の方法があります。短期滞在ビザの場合、観光や親族訪問、学術活動、商用、治療などの目的で特定の期間オーストラリアに在住することができます。短期滞在ビザが永住権取得の資格に繋がるケースが多々あります。
オーストラリアにおける投資による居住権取得
ビザ申請者は、当てはまるビザカテゴリーで規定されている特定の条件を満たす必要があります。これらの条件には「申請時」に適用される条件、「申請が許可された時」に適用される条件、またはこれらの両方の時点で適用される条件があります。適切なタイミングで規定の条件を満たしていることを証明できなかった場合、申請が却下される場合があります。また、すべてのビザカテゴリーにおいて、健康や人格、公益に関する特定の条件を満たす必要があります。
永住者は永住権を維持するために、5年間に2年以上オーストラリアに滞在するか、またはオーストラリアと強い繋がりがあることを証明する必要があります。
オーストラリアのビザ申請プロセスは非常に構造化されており、法律、規定、政策、立法文書に基づいています。申請審査にかかる時間はビザの種類によって大きく異なります。同国の移民システムでは審査に優先順位があり、国に対する貢献度が高いビザ(例:技術独立ビザ)の申請は、貢献度が低いビザ(例:家族ビザ)よりも短時間で審査されます。
短期滞在ビザおよび永住ビザプログラムには、「サブクラス」と呼ばれるビザのカテゴリーが現在合わせて約120種類ほどあります。
ビジネス・イノベーション&投資プログラムには、次の4種類のビザがあります。
- ビジネス・イノベーション・ビザは、オーストラリアにて新規、または既存の事業を設立、発展、管理することを望む、ビジネススキルを有する人を対象としています。申請者は州政府または特別地域の政府から申請許可を得る必要があります
- 投資家ビザは、オーストラリアの州または特別地域にて、150万豪ドル以上の投資を規定に基づいて行い、同国で事業活動または投資活動を継続することを望む人を対象としています。申請者は州政府または特別地域の政府から申請許可を得る必要があります
- 上級投資家ビザは、オーストラリアで規定の投資先に500万豪ドル以上の投資を行うことが可能で、同国で事業活動または投資活動を継続することを望む人を対象としています。申請者は州政府または特別地域の政府、またはオーストラリア政府を代表するオーストラリア貿易促進庁から申請許可を得る必要があります
- プレミアム投資家ビザは、オーストラリアで規定の投資先に1500万豪ドル以上の投資を行うことが可能で、同国で事業活動または投資活動を継続することを望む人を対象としています。申請者はオーストラリア政府を代表するオーストラリア貿易促進庁から申請許可を得る必要があります
申請者はEOI(Expression of Interest:申請可否伺い)を移民局に提出し、州政府またはオーストラリア政府を代表するオーストラリア貿易促進庁による申請許可を得てから、ビジネスイノベーション・ 投資プログラムのビザを申請することができます。
オーストラリアで生まれ、オーストラリアの永住権保持者またはオーストラリア国籍の親を持つ場合、自動的にオーストラリアの市民権を取得する権利が付与されます。また、オーストラリア国外で生まれ、オーストラリア国籍の親を持つ場合も、自動的にオーストラリアの市民権を取得する権利が与えられます。
オーストラリアに合法的に4年間居住し、過去12カ月以上を永住権保持者として滞在した場合、オーストラリアの市民権取得を申請することができます。市民権を取得するためには、インタビューを受け、テストに合格する必要があります。また、市民としての誓約を行わなければなりません。
オーストラリアの成人は、連邦、州、地方の政府機関の選挙で投票することが義務付けられており、投票しなかった場合、罰金が科される場合があります。オーストラリア市民は、オーストラリアでの出入国の際、オーストラリアのパスポートを使用する必要があります。
なお、オーストラリアでは2重国籍が認められています。
オーストラリアの会計/税制年度は、個人と企業共に7月1日から6月30日です。
所得税
各個人は、オーストラリアの税務署に登録するため、納税者番号の取得を申請し、毎年確定申告を行う必要があります。多くの場合、年間を通じて税金が給与から源泉徴収され、この源泉徴収納付制度は「Pay as You Go(PAYG)」と呼ばれます。給与や投資、株式の売却などの収入に対して、税金が課されます。
所得税の額は、収入の額や居住ステータスによって異なります。オーストラリアの居住者の場合、オーストラリアと海外からの収入の両方に税金が課されますが、1万8,200豪ドルまでは非課税です。所得税は累進課税で、現在の最高税率は18万1豪ドル以上の収入に対して45%です。またほとんどの場合、居住者はメディケア・レビーと呼ばれる国民健康保険税を支払う必要があり、現在の税率は課税対象の収入の2%です。
他方、非居住者の場合、オーストラリアで得た課税対象の収入に対してのみ課税されますが、税率は居住者の場合よりも高くなります。「税務上の居住者」であるかどうかを決定する一連の審査基準があり、主として考慮されるのは「183日ルール」です。
2014年7月1日から2017年6月30日まで、2%の一時的予算修正課税が、居住者・非居住者を問わず、18万豪ドルを超える収入に対して課されます(http://exfin.com/australian-tax-rates)。
キャピタル・ゲイン税(CGT)
自宅を除く、あらゆる資産の売却を通じて得たすべてのキャピタル・ゲインに対してCGTが課されます。純益は課税対象の収入とみなされ、CGTが課されます。税年度における純資産売却損は、繰り越して将来のキャピタル・ゲインと相殺できます。
相続税
いわゆる相続税は1979年に廃止され、不動産の資産が単に相続人に譲渡された場合、キャピタル・ゲイン(またはロス)にCGTは課されません。ただし、資産が遺言執行人によって売却され、売上金が分配された場合はCGTの対象となります。
物品サービス税(GST)
オーストラリアでは、基本的な食料品、教育費、医療費、政府関連の費用を除く、ほぼすべての商品・サービスに10%のGSTが課されます。
法人税
企業には、給与税、付加給付税、法人税(税率30%)を含む様々な税が課されます。
二重課税協定
オーストラリアは多数の国と二重課税協定を結んでいます。